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育児休業 素朴な疑問シリーズ 1

朝晩の寒暖差にいよいよ冬の気配を感じる季節となりました。
さて、こちらのコーナーで何度もご紹介してきたとおり、2022年10月1日に改正育児・介護休業法が施行されました。
施行日から約2か月が過ぎましたが、事業主様や総務担当様はどのようにお感じでしょうか。
実際に社員のみなさんに周知説明を行ったり、就業規則の改定作業を進める中で、ふと疑問に思うことはありませんか。
特に中小企業ですと育休実績がなく実は現行の制度もピンとこないという方もいらっしゃるかと思います。よくご質問いただくことをまとめましたので、疑問解消にお役立ていただければ幸いです。

Q. そもそも産休っていつからですか?
A. 産休は「産前休業」「産後休業」に分けられます。
いわゆる産休は女性のみ、男性は出産予定日から育児休業(育休)を取得することができます。

産前休業(労働基準法第65条)
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得できます。
出産当日は産前休業に含まれます。
⇒「請求すれば」とありますので、義務ではありません。 産前の体調は個人差があります。
出産日ギリギリまで産休に入らず仕事をする人もいますし、
法定の6週間よりも前から仕事を休みたいという人もいます。

産後休業(労働基準法第65条)
出産日の翌日から8週間は就業することができません。
ただし、産後6週間を経過後に、本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務には就業できます。
⇒産後休業は、母体保護のための制度です。
産後休業は産前休業と違って義務ですので取得させなければなりません。

Q. 育休っていつまで取れるの?
A. 原則、1歳になるまでの子どもを育てる男女が取れます。 以下の場合は6か月ずつ延長することができます。

子どもが1歳以降、保育所等に入れない等一定の要件を満たす場合は、1歳6か月になるまで
子どもが1歳6か月以降保育所等に入れない等一定の要件を満たす場合は、2歳になるまで

また、育休は労働者が申出をすれば取得することができます。年次有給休暇のように「待っていたら勝手に発生する権利」とは少し違います。

Q. 産休育休中は会社が給料を出さないといけない?
A. いいえ。ノーワーク・ノーペイの原則により、働いていない時間に対して会社が給料を払う必要はありません。
産休育休取得者への経済的支援には次のような制度があります。
厚生労働省『働きながらお母さんになるあなたへ(令和4年10月)』より
Q. 男性社員から育休を取りたいと言われたが、人手が足りないため育休を断りたい。違法か?
A. 法律上の要件を満たす限り、育休の申出を事業主が一方的に断ることはできません。
ですが、育休を取得したい20代後半~30代の社員は、たいてい現場で主軸となって仕事を回す立場であることが多く、抜けられると困るというのは本音でしょう。
その場合、新設された「産後パパ育休」の制度を使えば、
育休中に就業してもらうことが可能です(※)。

※就業可能日等には以下の上限が設定される
●休業期間中の労働日・所定労働時間の半分
●休業開始・終了日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

育休制度については、採用活動の目玉として活用する事業所もあり、法律で決められた内容を上回る制度を設けている会社もあります。また、公務員は最大3年間育休を取得できるようです。
社員から「前の会社ではこうだった」「友人の職場ではこんなことができるらしい」などと言われることがあるかもしれません。
参考にできることは取り入れつつ、自社としてできることを伝えるようにしましょう。

Q. 役員も産休育休を取れますか?
A. 産休は取得できます。育休は労働者の制度ですので取得できません。

産休期間中は役員報酬の有無にかかわらず、労働者と同じように社会保険料の免除申請を行うことができます。

育休期間中は、たとえ役員報酬を受けていなくとも社会保険料の免除申請はできません。
また、役員は雇用保険に加入できませんから、雇用保険による育児休業給付金を受給することは
できません。

(松本)
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