外国人が派遣の形態で働く場合、入国管理局は在留資格該当性について、派遣元ではなく、派遣先での業務内容によって判断します。『在留資格該当性』とは、簡単に言えば『外国人が行う活動と、外国人に与えられている在留資格の下で本邦において行うことができる活動とが合致していること』を指します。派遣社員の場合、外国人の在留資格を申請するのは直接雇用関係のある派遣会社(派遣元)となります。派遣元が派遣先の業務内容に基づいて外国人の在留資格を申請していれば問題ありませんが、もし、派遣先で就労する実際の業務内容と違う内容で申請していた場合、後から在留資格取消となる恐れもあります。
外国人を雇い入れる企業は、ハローワークを通じて厚生労働大臣に届出をしなければなりません。この届出は全ての事業主に義務づけられており、怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。なお、アルバイトや派遣社員として受け入れる場合にも必要です。派遣社員として雇う場合は、直接の雇用主である派遣元会社に届出義務が発生します。
退職証明書については、外国人が在留資格を変更したり、就労資格証明書の交付を申請するときに必要となります。こちらは、直接雇用関係がある派遣会社が対応します。また、退職するときも、(2)の外国人雇用状況の届出が必要です。なお、雇用保険に加入していた場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出することにより届出に代えることができます。
在留資格制度等を把握しないままに外国人を雇用したことが原因で不法就労をさせてしまうと、外国人本人だけでなく、雇っていた事業主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
不法就労助長罪に問われた場合、事業主は3年以下の懲役または300万円以下の罰金(入管法第73条の2)が科されます。さらに、不法就労助長罪の摘発で増えているのが、これまで多かった「従業員が不法就労状態だと知りながら働かせていた事業主」だけでなく、「不法就労だと知らなかった事業主」の摘発もあるため、派遣元はもちろん、派遣先も確認が必要です。
いがかでしたでしょうか。派遣会社はもちろん、派遣社員を受け入れる側も、派遣元と同様に、在留資格などの確認をしていただくことが重要だと、ご理解いただけましたら幸いです。なお、外国人の派遣社員を直接正社員として雇用する場合、日本人と同様に、キャリアアップ助成金正社員コースの申請も可能です。いろいろと事前の準備や要件がありますので、正社員への転換を予定されている方がいらっしゃいましたら、お早めにご相談ください。