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ビジネスと人権の歴史 今なぜ「ビジネスと人権」なのか シリーズその①
 ~はじめに~


環境問題やSDGsへの取り組みが注目されるようになって久しいですが、ここ最近は、「ビジネスと人権」が重視されるようになってきました。弊所では、「ビジネスと人権」がなぜ重要と考えられているかについて、できるだけ分かりやすく、皆様にお伝えしていきたいと思います。「ビジネスと人権」について知って、どのような取組みをするべきか、また、そのメリットやリスクについてお伝えすることで、より良い職場づくりに貢献したいと考えております。

 ~「ビジネスと人権」の歴史~


まず、シリーズその①では、「ビジネスと人権」の歴史についてお話しをしたいと思います。
「人権」と聞いて、皆様は何を思い浮かべられますか?ベルサイユのばらファンの私は、すぐに「自由、平等、博愛」を求めて民衆が起こしたフランス革命を思い浮かべました。元々は、市民が国家権力に対して権利保障を求めるものでしたが、経済発展とともに企業が大きな事業活動を行うようになると、今度は企業による労働の搾取、あるいは、環境破壊等の問題が起こるようになりました。特に、サプライチェーン(取引先等)が国境を超えるような場合においては、企業が意図的でなくとも、いつのまにか強制労働、児童労働、環境破壊等、搾取しながら発展してきたという現実があります。たとえば、先進国のグローバル企業が、途上国の会社に発注した場合に児童労働等の搾取が行われたとしても、途上国の法整備等ができていないために、グローバル企業は責任を問われない、ということが起きてしまいます。そして、一番弱い立場にある人たちが搾取される、そういう社会構造に対して、きちんと是正すべきだという声が高まってきたことから、2011年、国連による「ビジネスと人権に関する指導原則」が承認されるに至ったわけです。これより、サプライチェーン全体で、人権侵害のリスクを特定し、予防・軽減・救済に取り組む「人権デュー・ディリジェンス」の考え方が広がり、欧米を中心に法制化の動きが顕著となってきています。日本では、2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画」が公表されました。

●ポイント
企業は、サプライチェーンまるごと(自社だけではなく、関連会社はもちろん、他国の取引先もすべて)人権を尊重する責任を求められる。

 ~あとがき~

ざっくりと「ビジネスと人権」の成り立ちを解説しましたが、次回は「人権デューデリジェンス」とはなんぞや、というお話をしたいと思います。国連等で採択された指針につき、横文字だらけですが、できるだけ分かりやすくかみ砕いてお話できたらと思います。
なお、この「ビジネスと人権」について、日本は欧米諸国に比べて遅れを取っている、という評価がなされているようです。思えば第一次世界大戦後のパリ講和会議で、世界で初めて「人種的差別撤廃提案」をしたのは日本。日本の企業は情報公開について、欧米諸国に比べると積極的ではない、ということだそうですから、正当な評価を得られていない可能性もあります。
日本のポテンシャルの高さを世界に是非とも知ってもらいたいと思います。

参考リンク
ビジネスと人権ポータルサイト(外務省HP)
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