「みなし労働時間」を「その業務に通常必要となる時間」とする場合は、その時間数を労使協定により定めることができますが、法定労働時間(1日8時間)を超える時間を定める場合には、その労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
みなし労働時間 | 労使協定の作成 | 労基署への届出 |
---|---|---|
所定労働時間 | ― | ― |
その業務に通常必要となる時間 | ― | ― |
労使協定で定めたその業務に通常必要となる時間(8時間以下) |
〇 | ― |
労使協定で定めたその業務に通常必要となる時間 (8時間超) |
〇 | 〇 |
また、事業場外のみなし労働時間制を採用するには、就業規則に規定しておく必要があります。
事業場外のみなし労働時間制の対象となるのは、あくまで事業場外で勤務した部分のみであり、労使協定についてもこの部分について協定します。
したがって、事業場内での勤務が発生する際、「みなし労働時間」の決定方法を、所定労働時間勤務したものとみなす【原則】と、その業務に通常必要となる時間労働したものとみなす【例外】のどちらにするかで、労働時間のカウント方法が異なります。
まず【原則】の場合ですが、所定労働時間を総労働時間とみなしますので、複雑な処理は発生しません。
しかし【例外】の場合は、事業場外での勤務時間を、その業務に通常必要となる時間とみなしますので、当該「みなし労働時間」と別途把握した事業内勤務時間を合算する必要があります。
例えば、労使協定で定める時間を9時間とした場合、内勤で7時間働いた後、事業場外労働に従事すると、16時間働いた計算となります。
現実に事業場外で9時間働けば問題ありませんが、このような処理を行うと著しく実態とかけ離れるケースも想定されます。
こういったケースでは、協定届の業務の種類を限定(「外勤営業」など)としておくことで、1日の大部分を内勤に充当した日などは「協定で定める業務」に該当しないと判断されますので、当日は外勤営業員としてのみなし制を適用せず、他の内勤者と同様の取扱いとする対応が考えられます。