最後に、「管理監督者」について確認します。
よく知られているとおり、労働基準法第41条に規定される「管理監督者」には、時間外手当や休日手当を支払う必要はないと定められています。
勤務時間の制限がない以上、出退勤時間も自らの裁量に任されています。
「部長は管理職で時間外手当が出ないからタイムカードがいらない」と言われるのはこのような理由からでしょう。
しかし、いわゆる「管理職」は、労働基準法でいう「管理監督者」とイコールではありません。
労働基準法では、管理監督者は「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされており、部長、課長、店長などの肩書きがあっても、それだけでは管理監督者とはいえません。
管理監督者であるかどうかは会社内での肩書など主観的な事情ではなく、個別の実態に即して客観的に判断されます。(『労働基準法のあらまし』p.23)
ポイントは以下の3点です。
1. 経営者と一体的な立場にある
□ 賃金制度や配置などの労働条件の決定、社員の採用、人事考課などにおいて決定権限がありますか?
2. 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
□ 出退勤時間の自由がありますか?
□ 給与から遅刻・早退などの不就労控除をしない取扱いになっていますか?
3. その地位にふさわしい待遇がなされている
□ 一般社員と比較して、基本給、役職手当などで優遇されていますか?
このように、「部長はタイムカードを打刻しなくてもいい」という単純な認識では法違反になってしまいます。
「うちの会社は大丈夫ですか?」と疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。