1.業務改善助成金
最低賃金へ引き上げしなければ法律違反、さりとて原資の確保もしなければならず・・・という事業主様に是非とも知っていただきたいのが「業務改善助成金」です。これは、社内の最低賃金を引き上げ、業務効率を上げるような設備機器やソフトウエアの購入等をするならば、その代金を補助しましょう、という助成金です。
兵庫県の場合であれば、令和5年9月現在の最低賃金は960円ですから、50円プラス の1,010円以内の賃金の方が対象となります。たとえば時給980円の方がいたとして、30円プラスの1,010円以上に引き上げれば助成対象になります。10月、兵庫県の最低賃金は1,001円に引き上げられますので、今、1,001円に満たない時給の方がいて、賃上げをミニマムにおさえたい、という場合は、9月30日までに賃金を引き上げすればよい、ということになります。既に賃金引き上げ済みの場合でも、事業場規模50人未満の事業者であれば、賃金引上げ後の申請も可能ですので、あてはまる方がいないか、是非とも確認してみてください。
2.助成金の支給額
助成率と、上限額は、賃金の引上げ額と、賃金の引上げ人数で決定されます。詳しくは、下記の表のとおりです。
<助成率>
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。
最低賃金と人数は事業場ごとで見ますので、複数店舗、支店等がある場合は、各店舗、支店ごとにチェックしてください。
たとえば、従業員数10名の飲食店で業務改善のために食洗器、POSレジの導入予定で、事業場内最低賃金2名の賃金980円を30円引き上げて1,010円にした場合、助成金上限額は90万円、助成率が3/4です。120万円の設備投資であれば、上限額90万円を受給できますから、持ち出しは30万円で済みます。
3.あらかじめ交付申請の必要があります!
「業務改善助成金」ですが、業務改善のための設備や機器導入費用の助成を受ける場合、導入前に、あらかじめ、相見積もりを取り、計画書を提出(交付申請)する必要があります。購入してしまってからでは、助成金の受給を受けることができません。交付申請をしてから審査期間が最低でも1か月かかることも考慮すると、できるだけ早く着手されることをおすすめいたします。また、交付申請期限は令和6年1月31日ですが、予算に達すると打ち切りとなります。ほかにも要件は色々とありますので、気になる方はぜひお早目に、弊所までお問合せください。
岸田文雄首相が、最低賃金を2030年代半ばまでに1,500円に引き上げる目標を掲げました。今回の最低賃金の引き上げ幅は過去最高ですが、今後も引き上げは続くものと思われます。賃上げのために、業務改善は必須となりますから、今回ご紹介した業務改善助成金はもちろん、普段から使える助成金がないか、事業主様に寄り添って、発信していきたいと考えております。助成金は、「あらかじめ計画書を提出」するものばかり。業務改善の機器購入等を検討されている事業主様は、ぜひともご相談ください!