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育児休業 素朴な疑問シリーズ 2

新年最初の更新となります。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、1年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」、2022年は「戦」でした。ロシアによるウクライナ侵略をはじめ、冬季オリンピックやサッカーワールドカップなど1年でさまざまな「戦」があったことが理由にあるそうです。
私が「戦」と聞いて思い起こされたのは「24時間戦えますか?」というフレーズでした。このフレーズが流行した時代からワークライフバランスが重視される今日におけるまで、世間の仕事に対する価値観は大きく変わってきたように感じます。当所においても昨年10月1日の育児・介護休業法改正の影響により、顧問先様に男性社員の育児休業取得に関するご相談が増えてまいりました。
今回はそんな育児休業の疑問を社員目線でまとめた「育児休業 素朴な疑問シリーズ 第2弾」を掲載いたします。
>>第1弾はこちら

Q. 産休からそのまま育休に入る予定の社員です。産休に入ってからいつ頃にどれくらいのお金がもらえるのでしょうか?
A.もらえる給付や手当は大きく分けて3つございます。
(1)≪出産手当金≫

〇対象者:
事業所で社会保険に加入している方は健康保険の被保険者であり、出産手当金の対象となります。
(健康保険の被扶養者は出産手当金を受けられません。)

〇支給金額:
出産手当金の1日あたりの支給額の計算式は、以下のとおりです。

直近12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3

だいたい月の給与の60%程度の手当金がもらえるイメージですね。
※上記は全国健康保険協会の場合です。事業所独自の健康保険組合に加入されている場合は扱いが異なる可能性がありますので、直接健康保険組合にご確認ください。
〇申請について:
出産手当金の申請書は被保険者が勤務先に提出し、勤務先から保険者に提出されます。申請手続きは、産休期間終了後にまとめて行うのが一般的です。(分割も可能)
その場合は、産休期間終了日の期間を含む給与支払い日が到来してからの申請になりますので、振込日はおよそ出産後3か月程度が目安です。
※上記は全国健康保険協会の場合です。事業所独自の健康保険組合に加入されている場合は扱いが異なる可能性がありますので、直接健康保険組合にご確認ください。
(2)≪出産育児一時金≫
〇対象者:
妊娠4か月(85日)以上の出産(早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)をした健康保険の被保険者被扶養者
※被扶養者の方の申請の場合は、家族出産育児一時金といいます。

〇支給金額:
一児の出産につき42万円
産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円(2022年1月現在)

〇申請について:
多くの場合はお金を直接受け取るわけではなく、出産育児一時金の支給が全国健康保険協会(協会けんぽ)から直接医療機関等へ支払われることから、医療機関等の窓口で高額な出産にかかった費用を支払う必要がありません。出産にかかった費用が出産育児一時金の額より少ない場合は、その差額が被保険者等に支給されます。
(3)≪育児休業給付金≫

〇対象者:
雇用保険の被保険者かつ、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した方
(育児休業は2回まで分割できます)

〇支給金額:
・育児休業を開始した日から180日:   [休業開始時賃金日額×支給日数]×67%
・育児休業を開始した日から181日以降: [休業開始時賃金日額×支給日数]×50%

こちらも、育児休業を開始してから半年まではだいたい月の給与の60%程度、半年以降は半分の給付が貰えるイメージですね。
〇申請について:
育児休業が始まってからおよそ2か月に1回支給されます。
初回の振り込みは育児休業開始から3か月以上かかると想定したほうがよいかと思います。
ちなみに、男性の場合は自身が出産する訳ではないので産休がありません。よって出産手当金は受けられませんが、育児休業もしくは、出生時育児休業の取得が可能です。
≪出生時育児休業(産後パパ育休)≫
雇用保険の被保険者で男性の方は、育児休業給付金の他に、 子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合(2回まで分割取得できます)、一定の要件を満たすと「出生時育児休業給付金」の支給を受けることができます。
Q. 今は夫の扶養内でパートをしています。健康保険も夫の扶養に入っている状態ですが、出産した場合に何か給付金がもらえますか?
A. 配偶者の健康保険の扶養に入っている場合、要件に該当すれば「出産育児一時金」が支給されます。

さらに、雇用保険の被保険者の方であれば、原則1歳未満の子を養育するための育児休業(2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」の支給を受けることができます。

Q. 「うちの会社は入社して1年経っていないと育休を取ることができない」と聞きました。法律上、育児休業はみんな取得できるものではないのですか?
入社して1年未満で育児休業が取れるかどうかは会社によって扱いが異なります。
現状の法律では、労使協定を結ぶことで入社1年未満の社員を育児休業の対象者から除外することは問題ないとされています。そのため、入社して1年未満で育児休業が取れるかどうかは会社によって扱いが異なります。まずはご自分の雇用形態(正社員、有期契約社員、パートタイマー等)に適用される就業規則や育児休業規程をご覧いただき、育児休業の対象者の範囲をご確認ください。
ちなみに、中小企業では入社1年未満の社員を労使協定により育児休業の対象者から除外しているケースが多いため、育児休業の申し出時点で入社1年未満の社員の方が育児休業を取得できる可能性は低いかもしれません。また、育児休業取得の要件を満たしていない場合は育児休業を取ることはできないので育児休業給付も受けられません。産休については、勤続年数にかかわらず取得できます。産休の給付金の対象者についてはQ1 ①をご覧ください。
※Qをクリック(タップ)すると答えが表示されます。
Q. 育休取得中の社員です。まだ復帰まで半年あります。育休が終わったら復帰せずに退職したいと会社に伝えたら「育児休業給付金はもう受けられなくなる」と言われました。育児休業中なのに、なぜ途中で給付金が受けられなくなるのですか?
A. 育児休業中に退職することが決まったケースは、その時点で職場復帰しないことが確定するので育児休業給付金の対象者から外れてしまいます。

そもそも育児休業給付金制度の目的は、育児休業を取得する方が育児休業終了後も仕事を続けられる(失業しない)ように育児休業中の生活を支援することです。そのため、育児休業の対象者は職場に復帰することが前提になります。ご質問のように育児休業中に退職することが決まったケースは、その時点で職場復帰しないことが確定するので育児休業給付金の対象者から外れてしまいます。よって、給付金を受けることができなくなるということです。
仮に育児休業の開始時点で退職が確定しているにも関わらず、そのことを隠して育児休業給付金を受給した場合には不正受給の処分を受ける可能性があります。また、事業主が虚偽の申請書等を申請した場合についても返還や納付命令処分を受けることもありますのでご注意ください。
ちなみに、育児休業から復帰した後、やむを得ず退職することになった場合は育児休業中において本人は職場復帰する意思があったため育児休業給付金の返還は不要です。

(上田)
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